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えいちゃーろぐ!

目指せ月に2記事

校庭の片隅で野菜を育てていた頃の話 前編

エンタメ

高3の初夏、いつも通り親しい友人ら数人と雑談していると、突然このような誘いを受けました。

「いま僕ら校庭で野菜育ててるんだけど、お前もやろうぜ」

 

 

高3の雰囲気は少しピリピリしていました。大学受験が近く、休み時間に勉強する人も増え、教室でワイワイ騒ぐのはなんとなく申し訳ない雰囲気。

その中で、校庭で野菜を栽培してる受験生。最高じゃないですか。

 

そんなアマノジャクな発想もあって、「家庭菜園同好会」という名の集いに、私も混ぜてもらうこととなったのでした……。

 

 

 

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うわあ。本当に校庭の片隅だ。というか完全に荒地です。草生える(ダブルミーニング)。

 

 

 

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まずは雑草をむしり、土壌を整え、作物を植えていきます。

幸運にも、校庭の隅にはクワやらスコップやらが沢山ころがっていました。きっとフリー素材だ。自由に使おう。

 

 

 

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洒落た花壇が完成。しかし石ころを使うとゴツゴツしてしまいますね……

 

 

 

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ふたつめの花壇は、本格的な石のブロック製になりました。

 

 

 

なお、この活動には、工芸の教員であり学校の理事でもあるH氏という強力なバックが存在していました。

おかげで活動の正当性が保て、学級内での宣伝も胸を張って行えるようになり、「どうやら校庭の脇で菜園している団体があるらしい」ということが、それなりの人に認知されるようになっていきました。

それどころか、高3の工芸の授業について「採れた作物を提出したら100点にしてください」という交渉を持ちかけた結果、なぜか普通に了承してくれたそうで。もはや提出というか年貢納め。というか、校庭の改造を黙認する理事、大丈夫なのか……?

 

 

 

 

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石づくりの椅子。周囲に落ちている鉄パイプたちをクラブに、菜園場の近くで練習している軟式テニス部のこぼれ玉をボールに見立てて、ゴルフも楽しめます。

 

 

 

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カラーコーンを繋ぐ、縞々のパイプってあるじゃないですか。あれって中が空洞になっているんですよ。つまりパイプに穴を開け、その端をホースに繋ぐことで、こんなに立派な灌漑設備が完成してしまうわけです。

 

 

 

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雨ニモマケズ(豪雨時の排水設備)

 

 

 

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風ニモマケズ(なんか近くに落ちてた神輿で防風)

 

 

 

 

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"畑の守り神"に就任した木の枝女神。なんという自然の造形美。妖艶な下半身。

 

 

 

 

……と、こんな具合で、順調に作物たちは成長していきました。

私は月曜日の水やり担当でした。学校が休みで水やりのできない日曜日の翌日ということで、少し多めに水を流してやる必要があったり。

 

しかしそんなある日、同好会の主催者の一人が、突然の告白。

 

 

「T校長の花壇にカボチャ植えた」

 

 

……好きです。こういうバカが好きです。

 

 

私の高校のT校長は、校門近くの小さなプランターでお花の世話をするのが趣味でした。

朝、早めに登校すると、校長がニコニコしながらお花たちに水やりをしている場面に遭遇できるそうです。早めに登校したことがないので分かりませんが。

 

 

「だって校門前のほうが日当たりいいし、勝手に校長が水やりしてくれるから」

「許可は?」

「ない」

 

 

実際、その言葉通り、校長の花壇に植えられたカボチャは、校庭脇のカボチャとは比べ物にならないくらい、グングンと成長していきました。

おかげさまで、すぐにプランターのキャパシティを超え、もう目に見えて"花ではない何か"の存在が確認できるようになり、当然T校長も気づき、その植えた張本人は校長と話をするハメに。

 

しかしタダでは終わらない家庭菜園同好会。校長に話をつけ、屋上での栽培を許可してもらうことに。校長はマジで天使なのか? と思ったが、花と戯れて笑う姿はどちらかといえば妖精に近い。

 

そんなこんなで、ついに校長公認となった家庭菜園同好会。夏休みを迎え、いよいよ野菜作りは佳境へと差し掛かっていくのだった……(つづく)